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【月と太陽の物語】明石海峡大橋 だるま×だるま(産経新聞)

 距離にして約30キロから50キロ。大阪から明石海峡大橋をとらえようという挑戦を始めてまもなく1年だ。

 なんとか大橋と夕日、満月を一緒に写しこみたい。場所探しからスタート。夕日が沈む方角を調べると、春と夏から秋にそれぞれ1カ月半ほど撮影可能なシーズンがあると分かった。月はさらにやっかいだった。沈む方角や時間がさまざまにかわる。

 そして春霞や黄砂に阻まれることも。とにかく、天気が良く遠くまで見渡せるような澄み切った日が必要だ。気象衛星の雲画像を参考に、大阪市浪速区の会社の窓から西の空の視程を確認する日々が続いた。遠くの山まではっきりと見えていれば、第一段階はクリアだ。

 そして条件のそろった日はやってきた。夕日の沈む方角を計算し明石海峡大橋が見える場所を確認。場所は、大阪府高石市の臨海地域と決めた。阪神高速湾岸線を南下する車窓から明石海峡大橋がくっきりと見えるかどうか、これが最終確認だった。

 「よし、今日はいける」。太陽が真ん中を射抜いた。水平線に近づくと、大気の温度差で、太陽の下に逆転層ができ、もう一つ太陽があるように見えた。蜃気楼(しんきろう)の一種といえばいいのだろうか。見かけがだるまに似ているため、カメラマンの世界ではだるま太陽とニックネームを付けられている現象だ。

 月の撮影は予想通り難しかった。まず、満月の日の前後が晴れていること。視程が良いこと。沈む方角に大橋があること−という条件をすべて満たさねばならない。

 チャンスは年に数回。しかも、夜間だと視程がいいのかどうかの確認がとれない。低空に雲があるかどうか分からない。さらに、満月の輝きが夜明けの明るさに負けてしまい、満月を見失ったこともあった。

 寒さが厳しくなった満月の夜、やっと条件に恵まれた。

 ファインダーにとらえた月は、だるま太陽にならえば、だるま月とでもいう奇妙な形だった。(写真報道局 山田哲司)

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